2011年3月アーカイブ

どうも標です。

節目の5回目となりました。

ここまで続けられたのも、静観して下さる皆様と、

ネクネクメンバーのご好意があってこそです。

これからも変わらず細く長くやっていこうと思いますので、

楽しみにしていただければと思います。


今回は予告どおり、温度管理の話です。

春になって暖かくなると、草花が芽を出します。

ただ「暖かくなると」ではなく、それが何度なのか。

そういうお話です。

ただ、「温度」と言っても気温と地温がありますので、

そのへんは読み間違えないようにお願いします。

ですが、基本的に気温によって地温が上昇しますので、

気温≒地温と考えてもらえれば大丈夫です。


さて、

発芽に必要な地温は28から30度です。

高校のとき、前年度の3学期から準備していましたから、

そんな春先に気温28から30もあるわけがないので、

ハウス内で巨大なヒーターを使って気温を上げます。

夜も付けっぱなしです。

ちなみに、このヒーターの燃料は石油です。

これもメロンが高い理由の一つです。

そのような環境下で発芽を待ちます。

まだ苗を作るの段階なので、種は小さいマスが無数にあるトレーに撒きます。

なぜそのようなトレーを使うかと言うと、

発芽に必要な地温は、種の周りの土だけその温度であればいいので、

土が少なければそれだけ早く温まります。

発芽しましたら、ポリポット(ポリ鉢とも言う)に植え替え、

夜間も含めて今度は気温15度以上を保ちます。

ただ、生育を活発にするために日中は発芽の気温と同じくらいにして下さい。

「じゃあ、手っ取り早くずっと28から30にしていればいいじゃん」

と言うわけにはいかず、日光もないのに夜間も細胞が元気でいてもらっても

困ります。ただ、地温は下がりすぎないようにすること。

どういうことかと言いますと、夕方に水はやらないで、と言うことです。

気温が高くても、水をやれば当然地温が下がります。

これから夜になると言うのに、水をあげて地温を下げて、

低いまま一夜を通すことになります。

水をやるのはなるべく午前中です。

午後2時が一日の中で最高気温に達するので、

水をあげ、温度、日光とともに最高のコンディションで向かえることが出来ます。

余談ではありましたが、

地温は水やりと大きく関係していることが分かったと思います。

発芽しましたら、本葉が3枚ほど出てくるまでこの温度です。

そうしましたら、いよいよ定植になるわけですが、

ここでの地温は20度以下にならないようにします。

日中の地温は以前と変わりません。

あとは水やりなどに気をつければ、

今度は季節が見方してくれて温度が上がってきます。

ヒーターも使わなくなります。

ですが、夏場になれば、ハウス内は45,6度にまで上昇します。

作業をしていた当時、外気温は多分35度くらいだったと思うのですが、

ハウスから脱出したときに涼しさを感じたほどです。

さすがにこれでは地温は上がりっぱなしなんで地温を下げなければなりません。

しかし、このとき、気温=地温にはなりません。

それはなぜか。

まぁ、確かに水を溝へたくさん上げはしましたが・・・。

その頃、メロンの茎は高さ約2mにまで成長し、

自分の根元は数多くの大きな本葉により日陰が出来、

地温上昇を緩和していました。

本葉を大きくすることによって日光を受け止めるだけでなく、

根元への直射日光を遮断し、地温の上昇を防ぐ。

植物の進化をそこで垣間見ることが出来ました。

まるで、赤ん坊の頃はいろいろ面倒を見ますが、

成長をすれば自分のことは自分でやる人間のようです。


さて、何かと脱線しましたが、温度管理についてでした。


ではここで、メッセージをいただいたわけではありませんが、

本社の製本職人の方に「四角いメロンは出来んだけぇ」と訊かれたので

お答えします。


とりあえず、(四角い)型にはめれば理論上は出来そうです。

その場に居合わせたYちゃんも言ってましたが、

メロンの周りに出来るネットがキレイにできないことが予想されます。

(なんで出来ないのかは追々話させていただきます。)

決められた型にしか大きくならないので、養分を吟味しないと

型にはまるほど大きくならなかったり、

肥大しすぎた場合は、私にはちょっと予想が出来ません。

それに、型の材質も不明なところもあり、

害がなさそうな木材がいいのか、

全く自然界と交わらないプラスチック製がいいのか、

果実自体に日光は必要であれば、透明なもの(ガラスとか)

でなければいけないのか。

そして、果実が膨れ上がる力はどのくらいのパワーがあって、

それを押し込めることが出来る強度があるものはなんなのか、などなど。

そもそも、ある種の奇形なので、おいしいかどうかの保障もありません。

分からないことだらけです。

私が調べた内容によれば、栽培に成功して、ブランド品として

市場に出回っているようです。

・・・でも、やっぱり丸いほうがいいと思いますけどねぇ・・・。

どうも標です。

前回から技術改め手法と言う呼び方で進めさせて頂いてます。

溝を掘ると言うことは単純なことですが、この単純作業にどんな意味があるのか。

そして理解しているか。

そこが重要です。

溝は浅くても奥が深い(なんつって)

・・・・・


さてと、

今回はついに、

植物ではありえない手法です。

この手法は収穫前にやる最後の仕上げなのですが、

ここまで完璧に育ててきたと言うときに、

これをやるとやらないとでは、メロンのおいしさに大きく影響します。

さて、

おいしくするにはメロンの糖度を上げないとなりません。

糖度を上げるには、もちろん栄養を取らせることですが、

実を一つしか付けさせなかったり、

余計な枝を伸ばさずその分の栄養も実につぎ込み、

やれることは全てやりました。

そこからさらに糖度を上げる方法です。

なんと、


メロンを枯らします。

水を完全にやらなくなります。


葉っぱはパリパリ、茎もカチカチになります。

なんでそんなことをするのか。

それは、

枯らすことによって実の中の水分を飛ばし、

中身の糖度を上げるためです。

しかし、やりすぎも禁物で、

茎の変色が実に差し掛かってきたところで

収穫してやります。

実を枯らすわけには行きません。

これはメロンだけに言えることではなく、

他にはトマト・ミニトマトも同じ方法が取られています。

まぁ、一度枯らしてしまうと、そこから蘇らせることは出来ないので、

大量生産とは、なかなか行きませんが。

ちょっとお値段が張るようなトマトは

「これがトマト?果物みたい!」ってなるのはこういうやり方をしているからです。

Smile畑でも実験してみたら面白そうですね。

普通に収穫したトマトと、枯らしてから収穫したトマトを食べ比べる。

ミニトマトくらいなら小さい規模で簡単に出来ます。

プランターでも出来ますし。

トマトは一週間に一度の作業では済みませんので、

なかなか難しいのでは、と思います。


さて、次回は設備も含めた温度管理のお話にしようと思います。

メロンが高い理由はまだ終わりません。

次回もお楽しみに。