2011年5月アーカイブ

どうも、標です。

さて今回、お話させていただくのは、

かつて、放射性物質により出荷できなくなった野菜たちのことです。

その中でも「ホウレンソウ」が広範囲で出荷禁止となっていました。

「なんでほうれん草だけが?」と思われた方がいると思います。

それについてお話しようと思います。


まず、ほうれん草そのものの説明をしなければなりません。

ほうれん草は冬に栽培する野菜です。

夏は、輸入物や北海道産のものが多くなります。

ほうれん草の発芽温度は5から20度くらいです。

ほうれん草は寒さに強く、温暖に弱いと言う特徴があります。

適温の最高温度は20度なので、

30度を超えるような夏に種まきをしたいときなんかは、

冷蔵庫に入れて発芽させる手法もあったりします。

発芽した後ほうれん草は、温度が15から20度の間で最も成長しますが、

寒さに強いので、これより低くても成長します。

生産性を求めるならハウス栽培で温度を上げます。

(ちなみに、15から20度くらいは、初春であれば

ハウスを張るだけでこの温度まで上がりますので、

特にヒーターなどはいりません。夜は温度が下がりますが、

夜に成長してもらうことはないので、

日中だけ20度であればよいのです。)

このように、低温でも栽培できてしまうので

冬でも特に設備がなくても作れます。

このように常に外気に触れる状態で栽培しているので

放射性物質が広範囲で検出されてしまったわけです。

では、ハウス栽培のものは助かったのではないか。

ところが、実はそうではありません。

ハウス栽培のものは収穫間近になると特別なことをします。

なんと、ハウスを取ってしまったり、または外の空気を循環させます。

いい環境で作っていたのに、冷たい空気に晒して台無しにするのはなんでか。

ほうれん草は気温5度を下回ると、成長が非常にゆっくりになります。

死滅するわけではないので、気温が上がればまた伸び始めます。

こうして、冷たい空気に晒し、成長を止めることによって、

ほうれん草は「低温ストレス」と言う反応を起こします。

(「低温ストレス」についてはまた次の機会に説明したいと思います。)

これによって糖度が上がり、

ビタミンなどの栄養が増幅し、とてもおいしくなります。

これを「寒締め」(かんじめ)と言います。

要は、身が引き締まると言った感じです。

また、成長が止まるので、育ちすぎないように急いで収穫する必要もありません。

(ちなみに、育ちすぎるとほうれん『草』ではなく、

『木』のように硬くなっていきます。)

このことから、ハウス栽培のものも、結局は外の空気に晒しますので、

検出されてしまうわけです。

しかし、今はもう大丈夫「らしい」ですが、

農家の人のことを考えると、

出荷ができるようになったことに関して言えば、

とてもよかったと言うふうに思います。

どうも、標です。

そろそろSmile最新号がお手元に届く頃かと思われます。

今日はそのSmileをお使いいただいて話を進めようと思います。

お持ちでなくとも、話には参加できますので大丈夫です。


さて、お使いいただくのは、冊子型になったSmileの初号 Vol.16です。

表紙で一人のイケメンが両手を広げているあれです。

その中のネクネク農活通信にあります、「農活勉強会」と言う見出し。

その記事を使って今回は「栄養素のお話」をしようと思います。


作物を作るためには、当然肥料が必要です。

一言で「肥料」と言いましても、

種類・・・と言うか、「成分」が様々です。

肥料の最上級みたいな感じで見られている「堆肥」と言うものがありますが、

それに含まれる成分を考えると、

そればかり与えていればいいものが出来る、とは限りません。

肥料の成分の中で、最も重要な3つの成分があります。

Smileの先ほどの記事に書いてあります、「窒素、リン、カリウム」です。

農林では「チッソ、リン酸、カリ」と、合言葉のように覚えさせられました。

これを「肥料の三大要素」、または「三大栄養素」と言います。

「チッソ」は葉っぱを育て、「リン酸」は花、そしてその後に実る果実を育て、

「カリ」は根を育てます。

キャベツやレタスなどの葉菜類(葉っぱもの)はチッソを多めに、

実がなるもの全般にはリン酸を多く、

ダイコンやジャガイモなどの根菜類はカリを多く与えます。

他に、この3つはN(チッソ)P(リン酸)K(カリ)と元素記号で

書かれることがあります。

特に、化学肥料の袋にはこの形式で書かれていることが多いです。

しかも、かなり大きめに絶対書いてあります。

その書かれている大きさを見ると、この3つの重要性を感じるはずです。

この他にも多量元素として、

炭素、水素、酸素、カルシウム、マグネシウム、硫黄となっています。

これらは全て、Smileには元素記号で書かれています。

また、微量元素として、

鉄、マンガン、ホウ素、銅、亜鉛、モリブデン、塩素もあります。

これら16元素をまとめて「必須元素」と言い、

どれか一つなくなるとうまく育ちません。

用途に合わせてブレンドして畑に撒く。

市販されてるかもしれませんが、

やろうと思えば一種の作物に特化した肥料も作り出すことが出来るでしょう。

ただ言われただけの肥料を上げる、ではなく、

この肥料の成分は何が含まれているんだろうと探ってみるのも、

また違った知的な農業が見えてくるのではないでしょうか。


今回はSmileの補足みたいな感じなりましたが、栄養素のお話でした。


・・・

ようやく農業の雑学らしくなってきた気がする・・・。


?お知らせ?

6月頃お届けになるであろうSmileVol.18のコラムを

私が担当させていただくことになりました。

農業以外でお話しすることになると思いますが、

そちらの方もよろしくお願いします。