どうも標です。
今年も残すところあと1ヶ月となってしまいました。
来年の1月になると、農業の雑学を1年間やらせてもらったことになりますが、
時間と言うものは早いものです。
今年中にやっておきたいこと、
私はこれと言ってありませんが、
月末になればなるほど動けなくなってくるので、
今のうちから手を付けた方がいいですね。
あ、そういえば、そろそろアドヴォに年賀状お願いしないと!
さて、前回の続きからの病気の予防の話ですね。
前回はウイルス病の予防と言っていますが、間違えてます(笑)
・種苗の消毒
種苗は、あたりまえですが、病気に侵されていないものを選ぶことが大切です。
病気の中には、種子や苗で伝染するものがかなりあるので、種苗の消毒を行う。
(多分、たとみ農園のおコメで、1回だけお薬を使ったのはここじゃないですかね)
消毒には、一般的に薬剤が使われていますが、熱による方法もあります。
500度とか言うような加熱消毒ではありませんが。と言うか、
燃えてしまいますね。
・土の消毒と改良
土中の病原微生物が生き残っていて、汚染した土壌によって伝染する病気の場合、
例えば、トマトの青枯れ病や萎凋病、アブラナ科作物の根こぶ病、
メロンの壊疽斑点病などに対しては、太陽熱や蒸気による土の消毒、
土壌消毒剤によるくん蒸が行います。
(青枯れ病:「枯れ」と言えば茶色のイメージですが、これは緑色をしたまま枯れる病気です)
(萎凋病(いちょうびょう):こちらはイメージ通りの茶色になって枯れる病気です)
(アブラナ科:キャベツ・白菜・大根・ブロッコリー・ワサビなど)
(根こぶ病:名前の通り、根にこぶが付きます。栄養の吸収に支障が出来、生育を妨げます)
(壊疽斑点病:前回の「その7」で説明した壊疽モザイク病と同じような症状)
土壌殺菌剤
クロルピクリン剤?立ち枯れ病・つる割れ病・萎凋病・青枯れ病・疫病・紋羽病・黒根病・線虫類・ハリガネムシ・ネキリムシ・ケラ
臭化メチル剤?苗立ち枯れ病・白絹病・青枯れ病・萎凋病・つる割れ病・疫病・根腐れ病・線虫類・ネキリムシ・キュウリ緑斑モザイクウイルス病
カーバム剤?立ち枯れ病・菌核病・白絹病・疫病・ネグサレセンチュウ
ダゾメット剤?根こぶ病・つり割れ病・半身萎凋病・根頭癌腫病・線虫類
殺線虫剤
D?D剤?線虫類・ハリガネムシ・ネキリムシ・コガネムシ幼虫・青枯れ病・そうか病
オキサミル剤?線虫類・ミナミキイロアザミウマ
DCIP剤?線虫・コナダニ
ピラクロホス剤?ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウ・ネダニ
ホスチアゼート剤?線虫類・ミナミキイロアザミウマ
しかし、上記のような土壌消毒も畑の隅々まで完全に病原菌を死滅させることは
難しく、防除の中の手段の1つとして考えて対処することになります。
なお、消毒の後には、良質な堆肥を十分に入れて、土壌微生物の活動を
うながして、病原菌の繁殖を抑えると良いでしょう。
また、一定期間、畑に水を入れて、湛水状態においたり、
深耕や客土、土の入れ替えを行うなどの方法も有効です。
・輪作
土壌伝染性病害は、同一作物を連作すると、土の中の病原菌の生息が次第に
多くなって病気が多発するようになります。
こうなってしまった畑では、その病原菌に侵されにくい作物をいくつか選んで、
輪作を行うことが望ましい。
例えば、根こぶ病菌は、先ほど説明した通りアブラナ科作物に好んで寄生
するので、3年くらい玉ねぎ・レタスなどの他の作物を栽培すると、根こぶ病菌が
減ってくるので、またアブラナ科作物を作ることが出来ます。
逆に、玉ねぎ・レタスを育てている間は、それらに寄生する細菌が増殖している
ので、玉ねぎ・レタス視点で見てみれば、アブラナ科作物へ切り替える、
と言うことにもなります。
輪作の効果として具体的なデータをお話しますと、
キャベツの被害率90%の畑に輪作を施しました。
間隔は1年と2年と3年です。
1年後:90%→70%
2年後:90%→40%
3年後:90%→5%
ちなみに、3年の5%は翌年にまた同じものを作ると60%まで上がります。
つまり一番良い輪作方法は、種別が違う4種類の作物を毎年回すと、
毎年いいものが獲れる、と言うことになります。
・圃場衛星
発病した固体や果実、収穫が終わった後の作物の残骸、雑草などは
そのまま田畑に放置しておくと、病気の有力な伝染源となります。
収穫した、はいお終い、ではないんです。
農業体験などでは、「収穫をしてもらって土に触れ合っていただく」、と言うような
うたい文句はよくありますが、それは本当の農業体験ではないんですよね。
(私の個人的な意見ですが)
収穫をしたら、そこからもう来年の畑作りはスタートしているのです。
ちょっと話がずれてしまいましたが、
伝染源の処理は以下のように行います。
1.焼却・埋没:
病気になった作物は、早めに(その場でも)抜き取って焼却するか、
土中深く埋める。ただし、土壌伝染性病害は埋めることは出来ません。
2.堆肥化:
収穫終了後、作物の残骸・剪定枝・落ち葉などは丁寧に集めて堆肥にする。
ほとんどの病原菌は50から60度で短時間で死滅します。
3.中間寄生の除去:
圃場の近くにある中間寄生を伐採し、病気の恐れがある雑草を除去する。
4.嫌気的発酵(酸素に触れさせない発酵):
作物の残骸をプラスチックフィルムで密封して堆積する。
温度は上がりませんが、嫌気的発酵によって病原菌が死滅する。
5.ポリポットや支柱などの栽培資材は、消毒あるいは新しくする。
・栽培管理の工夫
よく見るマルチングや袋かけは、病気の伝染を防止する効果があります。
また、種まき時期をズラして発病を回避したり、
ハウスやガラス室などの換気を計ったり、
土壌pHや土壌水分の調整など、栽培管理を工夫することで、
病原菌の活動を抑えて病気を軽減することも予防法として大切です。
この中でpHと土壌水分はまた特別で、
pHが酸性寄りだとアブラナ科の根こぶ病・紫紋羽病・白絹病が
発病しやすくなり、アルカリ寄りだと、ジャガイモのそうか病・
サツマイモ立ち枯れ病・白紋羽病など発病しやすくなります。
じゃあ中性がいいのかと言うとそうではなく、作物を生育させるには、
土壌をその作物に適したpHにしてやらなければなりません。
これはスーパー講師こと伴野先生のお話にもありました。
(そういえば最近お会いしてないな・・・)
それが例えば酸性だとすると、pH値による根こぶ病の回避は難しい、
と言うことが言えます。
そして土壌水分は、これが多いと青枯れ病・軟腐病・根こぶ病・疫病・
ビシウム病・根くびれ病が発病しやすくなります。
これは、雨の日が続くことによっても同じことが言えます。
・抵抗性品種や台木の利用
作物には、品種によって病気にかかりやすいものとかかりにくいものとが
あります。
ちなみに、かかりやすい作物のことを、私はよく「○○はデリケートだから」
と言っていたりします。
病気の発生しやすいところでは、その病気に強い抵抗性品種を選ぶか、
抵抗性台木に接ぎ木すると良いでしょう。
また窒素室肥料をやりすぎると病気にかかりやすくなるので、
正しい量を施しましょう。
「多いことに越したことはねぇから」と言って適当にぶち込むのも
考えものと言うことです。
次回は病気の駆除と防除のお話です。
さらに次々回では、今まで目に見えないようなレベルの話をしていま
したが、そろそろ皆さんのイメージ通りの「害虫と農薬」の話になってくると
思いますんで、楽しみにしてて下さい。
コメントする