農業の雑学の最近のブログ記事

どうも標です。

今年の冬は寒いですねぇ、と言いますが、

近年は暖かい冬が続いていたのでそう思うだけで、

実はそうでもないと思います。

農業的には冬はしっかり寒くなってもらった方が

土壌の微生物や種子には好都合です。

いつまでも寒いままでは困りますが。


さて、今回は害虫とその防除の話です。

ここでは害虫の種類や具体的な被害
(例えば、葉っぱを食べられると作物はどうなる?など)

と、それを防ぐ方法です。


・害虫の種類と被害

作物の害虫は、大体は昆虫(バッタとかアオムシ)ですが、

他には、

ダニや線虫、甲殻類(ザリガニとか)、腹足類(カタツムリとかナメクジ)など、

作物に被害を与える小型の無脊椎動物も含まれます。

(ちなみに、知っておられる方は多いと思いますが、
通称「アオムシ」と呼ばれるキャベツの葉っぱを食べる緑色のムシは、
モンシロチョウの幼虫です。
キャベツの畑にモンシロチョウがヒラヒラと飛んでいたら、
それは産卵していることを意味します。
一般的にはキャベツに花は咲きません。
じゃあなんで飛んできてるんだ? と言うことです。)


・害虫の種類
作物害虫を口の形状から分類すると、

咀嚼(そしゃく)性と吸収性(吸汁性)に分けられます。

要は、食うか吸うかです。

食う方は分かると思いますが、

吸う方で言うと、蚊とかセミを挙げるとお分かりいただけるかと思います。

食う方の代表格ではバッタやアオムシ、

吸う方ではアブラムシや以前お話したヨコバイ、

と言った感じですね。

食うと言っても、葉っぱだけではなく、

根を食べるムシや外壁に穴を開けて中身を食べるムシと食べ方は様々です。

吸う方も根茎葉や、組織に潜り込んで寄生するムシ、

中には夜間に飛んできて果実を吸うムシ(アケビコノハ・ヒメエグリバ)もいます。


・害虫による被害
害虫は、作物の茎葉などを食べたり産卵したりして、

作物を直接傷つけ、衰弱させるわけなんですが、

害虫のこのような行動を「加害」と呼びます。

害虫の加害によって作物は、育成不良やしおれなど

様々な症状を起き、収穫量の減少や品質の低下が起こります。

こっちが「被害」と呼びます。

葉っぱを食べられただけの段階では「ムシの被害が酷くてねぇ」ではなく、

「ムシの加害が酷くてねぇ」と言うことになり、

しおれてきたり枯れてきたりして、そこで初めて、

「ムシの被害が酷くてねぇ」と言えるわけなんですね。

なんか国語の勉強みたいになっちゃいましたが、つまりそういうことです。(笑)

さて、加害を受けた作物は、枯れやしおれ、萎縮、生育不良、異常成長、

発病などの症状が表れます。

また、害虫による被害には、直接な害以外にも、

病気の媒介(病気を運んでくる)や

害虫の食痕から病原菌が侵入して、発病するなどの間接的な害もあります。


次回は、陣中を知る、と言う意味で、

昆虫の構造の話をしようと思います。

どうも標です。

この「害虫と農薬」も長いことしてますが、

まだ「農薬」のことに触れてないので、

終わるにはまだまだ長そうです。

と言うことで、前回は時期ネタを挟ませて頂きました。


前々回は病気の予防でしたが、

今回は病気の駆除とウイルス病の防除のお話です。


・病気の駆除

・薬剤散布

作物が発病したときは、できるだけ早く発見して殺菌剤を散布する。

殺菌剤にはいろいろあります。

殺菌剤を選ぶ上で、基本的な原則は、

発病前の予防剤と発病後の治療剤を区別して考えることが重要になります。


予防剤:

作物の表面に付着した病原菌が細胞内に侵入する前に

効果を発揮する薬剤です。

菌の胞子の発芽を抑えたり、菌糸の侵入を阻止する効力は強いですが、

作物体内へ浸透する能力は無く、

すでに侵入してしまった菌を殺菌する効力はありません。


治療剤:

病原菌が作物体内に侵入、または発病後に効果を発揮する薬剤です。

作物体内によく浸透し侵入した菌糸や吸器に作用し、

死滅させたり、分生胞子の形成を破壊したりします。

病気は予防することが第一で、

発病してからでは手おくれの場合がほとんどです。
(薬剤が浸透した作物を食べるのはちょっとな・・・と言う感じもしますしね)

従って、発病前は定期的な予防剤の散布が中心と言うことになります。

また、発病の前兆がある場合や、すでに発病している場合は、

治療剤を散布します。

ですが、治療剤は多用すると病原菌自体に耐性がついてしまい

薬剤が効きにくくなるので、

使用回数はできるだけ少なくする必要があります。

以下のこれらは用途に合わせた薬剤の使用例です。

予防剤
汎用性:TPN剤、ジネブ剤、銅剤、有機銅剤
選択性:べと病にはホセチル剤
    疫病にはエクロメゾール剤
    うどんこ病にはジメチリモール剤
    菌核病にはCNA剤
治療剤
汎用性:プロシミドン剤、イプロジオン剤、ビンクロゾリン剤、ベノミル剤、
    チオファネートメチル剤、ポリオキシン剤
選択性:うどんこ病にはキノキサリン剤・トリアジメホン剤
    苗立ち枯れ病にはメプロニル剤
    べと病にはメタラキシル剤


・ウイルス病の防除

ウイルス病は、一度かかってしまうと薬剤などによって治療することは

残念ながら出来ません。つまり、ウイルス病の駆除の方法はありません。

いかに「病気にかからないようにするか」がポイントになります。

そのためには伝染方法に対応した3つが防除の要点になります。

1.伝染源の除去
(電線源となる発病した作物、被害残渣や雑草の除去)
(種子消毒)
(資材や土壌の消毒)
2.伝染経路の遮断
(媒介昆虫の駆除や飛来を防ぐ。寒冷遮・反射マルチ・反射テープなど)
3.抵抗性品種や台木の利用
(抵抗性品種や弱毒ウイルスの利用)


次回は害虫の話です。

アオムシやバッタなどが登場する予定です。

どうも標です。

農業の雑学も2年目となりました。

今年もよろしくお願いします。


今、葉っぱものが高いですねぇ。

通常の約2倍ですって。

こういうときは、少し痛んでいるものがお店に出てきてしまったりします。

でも、決して消費者の方々は嫌な顔をしないで下さい。

農業の雑学で言ったか言ってないか忘れてしまいましたが、

旬のときでも採れる野菜は全てがいいものではないため、出荷前に選別が行われます。
(製造業で言うところの検品と同じです)

若干、選別の基準を甘くしないと、とてもお店に行き渡らないか、さらに高くなります。

1玉¥350もありえます。

普通のときであれば、厳選された野菜がお店に並べられ、

私たちは特に良いものを食べさせてもらっています。

その裏側では、私たちの口に入るまでにたくさんの野菜が捨てられています。

野菜が高いと言うことは採れる量が少ないと言うことなので、

いつもの厳しい選別だと全てのお店に行き渡らなくなってしまいます。

スーパー1店舗あたり、レタスでもキャベツでも1日に100個は仕入れるでしょう。

さて、そのようなスーパーは日本に何店舗あるでしょうか?

生産者はその全店舗に出荷しないとなりません。

 生産者も痛んでいるものを出荷なんてしたくないはずです。

あとは、私たちが買うか買わないかです。

良いものを選んで買うのもいいでしょう。

お店側もそのことは重々承知のはずです。

積極的に痛んでいるものを買ってもらいたいと言ってるわけではありませんが、

どうか事情を把握した上で買っていただきたいと思います。


それと、出荷するまでには膨大な不良品が出ます。

これを農業では「はじき」と言います。

はじきは基本的に廃棄ですが、格安で販売したりすることがあります。ですが、

生産者からしてみれば、はじいたものの中からさらに選別しなければならない上に、

あまりお金にならない作業と言うこともあって全て廃棄にしてしまうケースがあります。

はじかれた野菜はいわゆる「ワケあり商品」と言う形で売られたりしますが、

どこのお店でもやってるわけではありませんよね。

やっている(選別する)農家が少ない、または、

お店の利益的な面や、お店の評判にも関わることもありますので、

卸も小売も避け気味と言うところが現状かと思います。


今回は、「害虫と農薬」の流れに私が飽きてしまったので(笑)、

時期ネタをやってみました。

どうも標です。

今年も残すところあと1ヶ月となってしまいました。

来年の1月になると、農業の雑学を1年間やらせてもらったことになりますが、

時間と言うものは早いものです。

今年中にやっておきたいこと、

私はこれと言ってありませんが、

月末になればなるほど動けなくなってくるので、

今のうちから手を付けた方がいいですね。

あ、そういえば、そろそろアドヴォに年賀状お願いしないと!


さて、前回の続きからの病気の予防の話ですね。

前回はウイルス病の予防と言っていますが、間違えてます(笑)


・種苗の消毒

種苗は、あたりまえですが、病気に侵されていないものを選ぶことが大切です。

病気の中には、種子や苗で伝染するものがかなりあるので、種苗の消毒を行う。
(多分、たとみ農園のおコメで、1回だけお薬を使ったのはここじゃないですかね)

消毒には、一般的に薬剤が使われていますが、熱による方法もあります。

500度とか言うような加熱消毒ではありませんが。と言うか、

燃えてしまいますね。


・土の消毒と改良

土中の病原微生物が生き残っていて、汚染した土壌によって伝染する病気の場合、

例えば、トマトの青枯れ病や萎凋病、アブラナ科作物の根こぶ病、

メロンの壊疽斑点病などに対しては、太陽熱や蒸気による土の消毒、

土壌消毒剤によるくん蒸が行います。
(青枯れ病:「枯れ」と言えば茶色のイメージですが、これは緑色をしたまま枯れる病気です)
(萎凋病(いちょうびょう):こちらはイメージ通りの茶色になって枯れる病気です)
(アブラナ科:キャベツ・白菜・大根・ブロッコリー・ワサビなど)
(根こぶ病:名前の通り、根にこぶが付きます。栄養の吸収に支障が出来、生育を妨げます)
(壊疽斑点病:前回の「その7」で説明した壊疽モザイク病と同じような症状)

土壌殺菌剤
クロルピクリン剤?立ち枯れ病・つる割れ病・萎凋病・青枯れ病・疫病・紋羽病・黒根病・線虫類・ハリガネムシ・ネキリムシ・ケラ
臭化メチル剤?苗立ち枯れ病・白絹病・青枯れ病・萎凋病・つる割れ病・疫病・根腐れ病・線虫類・ネキリムシ・キュウリ緑斑モザイクウイルス病
カーバム剤?立ち枯れ病・菌核病・白絹病・疫病・ネグサレセンチュウ
ダゾメット剤?根こぶ病・つり割れ病・半身萎凋病・根頭癌腫病・線虫類

殺線虫剤
D?D剤?線虫類・ハリガネムシ・ネキリムシ・コガネムシ幼虫・青枯れ病・そうか病
オキサミル剤?線虫類・ミナミキイロアザミウマ
DCIP剤?線虫・コナダニ
ピラクロホス剤?ネコブセンチュウ・ネグサレセンチュウ・ネダニ
ホスチアゼート剤?線虫類・ミナミキイロアザミウマ

しかし、上記のような土壌消毒も畑の隅々まで完全に病原菌を死滅させることは

難しく、防除の中の手段の1つとして考えて対処することになります。

なお、消毒の後には、良質な堆肥を十分に入れて、土壌微生物の活動を

うながして、病原菌の繁殖を抑えると良いでしょう。

また、一定期間、畑に水を入れて、湛水状態においたり、

深耕や客土、土の入れ替えを行うなどの方法も有効です。


・輪作

土壌伝染性病害は、同一作物を連作すると、土の中の病原菌の生息が次第に

多くなって病気が多発するようになります。

こうなってしまった畑では、その病原菌に侵されにくい作物をいくつか選んで、

輪作を行うことが望ましい。

例えば、根こぶ病菌は、先ほど説明した通りアブラナ科作物に好んで寄生

するので、3年くらい玉ねぎ・レタスなどの他の作物を栽培すると、根こぶ病菌が

減ってくるので、またアブラナ科作物を作ることが出来ます。

逆に、玉ねぎ・レタスを育てている間は、それらに寄生する細菌が増殖している

ので、玉ねぎ・レタス視点で見てみれば、アブラナ科作物へ切り替える、

と言うことにもなります。

輪作の効果として具体的なデータをお話しますと、

キャベツの被害率90%の畑に輪作を施しました。

間隔は1年と2年と3年です。

1年後:90%→70%
2年後:90%→40%
3年後:90%→5%

ちなみに、3年の5%は翌年にまた同じものを作ると60%まで上がります。

つまり一番良い輪作方法は、種別が違う4種類の作物を毎年回すと、

毎年いいものが獲れる、と言うことになります。


・圃場衛星

発病した固体や果実、収穫が終わった後の作物の残骸、雑草などは

そのまま田畑に放置しておくと、病気の有力な伝染源となります。

収穫した、はいお終い、ではないんです。

農業体験などでは、「収穫をしてもらって土に触れ合っていただく」、と言うような

うたい文句はよくありますが、それは本当の農業体験ではないんですよね。
(私の個人的な意見ですが)

収穫をしたら、そこからもう来年の畑作りはスタートしているのです。

ちょっと話がずれてしまいましたが、

伝染源の処理は以下のように行います。

1.焼却・埋没:
病気になった作物は、早めに(その場でも)抜き取って焼却するか、
土中深く埋める。ただし、土壌伝染性病害は埋めることは出来ません。

2.堆肥化:
収穫終了後、作物の残骸・剪定枝・落ち葉などは丁寧に集めて堆肥にする。
ほとんどの病原菌は50から60度で短時間で死滅します。

3.中間寄生の除去:
圃場の近くにある中間寄生を伐採し、病気の恐れがある雑草を除去する。

4.嫌気的発酵(酸素に触れさせない発酵):
作物の残骸をプラスチックフィルムで密封して堆積する。
温度は上がりませんが、嫌気的発酵によって病原菌が死滅する。

5.ポリポットや支柱などの栽培資材は、消毒あるいは新しくする。


・栽培管理の工夫

よく見るマルチングや袋かけは、病気の伝染を防止する効果があります。

また、種まき時期をズラして発病を回避したり、

ハウスやガラス室などの換気を計ったり、

土壌pHや土壌水分の調整など、栽培管理を工夫することで、

病原菌の活動を抑えて病気を軽減することも予防法として大切です。

この中でpHと土壌水分はまた特別で、

pHが酸性寄りだとアブラナ科の根こぶ病・紫紋羽病・白絹病が

発病しやすくなり、アルカリ寄りだと、ジャガイモのそうか病・

サツマイモ立ち枯れ病・白紋羽病など発病しやすくなります。

じゃあ中性がいいのかと言うとそうではなく、作物を生育させるには、

土壌をその作物に適したpHにしてやらなければなりません。

これはスーパー講師こと伴野先生のお話にもありました。
(そういえば最近お会いしてないな・・・)

それが例えば酸性だとすると、pH値による根こぶ病の回避は難しい、

と言うことが言えます。

そして土壌水分は、これが多いと青枯れ病・軟腐病・根こぶ病・疫病・

ビシウム病・根くびれ病が発病しやすくなります。

これは、雨の日が続くことによっても同じことが言えます。


・抵抗性品種や台木の利用

作物には、品種によって病気にかかりやすいものとかかりにくいものとが

あります。

ちなみに、かかりやすい作物のことを、私はよく「○○はデリケートだから」

と言っていたりします。

病気の発生しやすいところでは、その病気に強い抵抗性品種を選ぶか、

抵抗性台木に接ぎ木すると良いでしょう。

また窒素室肥料をやりすぎると病気にかかりやすくなるので、

正しい量を施しましょう。

「多いことに越したことはねぇから」と言って適当にぶち込むのも

考えものと言うことです。


次回は病気の駆除と防除のお話です。

さらに次々回では、今まで目に見えないようなレベルの話をしていま

したが、そろそろ皆さんのイメージ通りの「害虫と農薬」の話になってくると

思いますんで、楽しみにしてて下さい。

どうも標です。

不定期更新に慣れてしまいそうです(汗)

11月6日にたとみ農園でお客様をお招きしての稲刈りがありました。

時期としてはかなり遅いですが、

始めの田植えも「ギリギリ」の「ギリ」だったので、

ちょうどよかったのでは。と言うことにしておきます(笑)

私自身の稲刈りは高校では機械で全てやってしまうので、

鎌を使っての刈り取りは小学生以来でした。

意外と覚えているもんで「手前に引く」と言うのが刈り取り方のコツです。

そういえば、田植えのときもそうでしたが、

たとみ農園の農業体験は山梨の観光もプランに入っているとかいないとか。

稲刈りのときは、甲州ワインのイベント、ワインツーリズムにご招待したようです。

両日とも天気に恵まれず富士山をお見せできなかったのが残念でなりません。

そして、刈り取ったお米ですが、

たとみ農園で販売が開始されているそうな。

品種は「ヒノヒカリ」です。

コシヒカリの親戚みたいな名前ですが、「日の光り」が名前の由来

になってます。

地方によっては特Aランクを獲得するほどの名米になっています。

ちなみに、全国のお米のシェアは第3位だとか。

今、ちょうど「害虫と農薬」の話をしているんで、

せっかくなんで話しておきますと。

たとみ農園のこだわりの「低農薬」。

このお米も例外ではなく、アイガモ農法をとったわけでもないのに、何トンと収穫出来たわけです。

これはすごいことです。

収穫祭でお客さんにも我々社員にもヒノヒカリが振舞われ、

今日まで特に具合悪くなるようなこともありませんし、
(あたりまえか)

とても立派なお米になっています。

市場に出せるレベルだと思いますが、

数が少なすぎると思うんで、

会社から販売している感じなんでしょうかね。

アドヴォネクストのホームページにでかく載ってるんで、

見てみて下さい。(見るだけならタダです(笑))

さて、前置きが長くなりましたが、

害虫と農薬その7、ウイルスによる病気のお話です。


・ウイルスの特徴

ウイルスが原因となる病気(ウイルス病)は、

野菜・果樹・草花など、あらゆる種類の作物に発生します。

病原体は食物ウイルスと呼ばれ、

形は棒状・球状・ひも状・長方形などさまざまなものがあります。

ウイルスの特徴として以下の3つが挙げられます。

1.大きさが普通の光学顕微鏡(学校の理科室にあるような顕微鏡)
では見えないほど小さい。

2.特定の植物に感染して病気を起こす性質がある。

3.科学の力を持ってしても人の手で育てることが出来ず、
生細胞内のみで増殖する。
つまり、何かに感染しないと生きていくことが出来ません。


・ウイルス病の種類

ウイルス病は病徴によって以下のように分けることが出来ます。

萎黄病(いおうびょう)?茎葉の一部または全体が黄色になる
萎縮病(いしゅくびょう)?節間がつまり、全体が萎縮する
モザイク病?葉、花弁、果実などにモザイク様の斑点ができる
(モザイク病はウイルス病の中でもよく見られる病気。
ジャガイモ、インゲン、キュウリ、トマト、チューリップ、スイセン等々たくさん)
壊疽モザイク病(えそもざいくびょう)?茎葉に壊疽性の(腐ったような)斑点ができる
葉巻病?葉が巻き上がる(※タバコのアレではありません)


・ウイルス病の伝染

ウイルス病の伝染は、普通、昆虫(アブラムシ、ウンカ、ヨコバイ等)、線虫、

カビなどからうつってくることが多いです。

その他、人の手や、作物同士の接触、種苗、土壌、接ぎ木でも伝染します。

また、表皮にできた目に見えないほどの小さな傷口から

液体によって伝染したり、花粉によって伝染する場合もあります。
(つまり、用もないのに畑に入ったり作物に触るなってことです。手や軍手に土がついていたら尚更です。)


・マイコプラズマ様微生物による病気

マイコプラズマ様微生物は、細菌の中でもっとも下等な微生物

と考えられています。
(「マイコプラズマ」と言うのは、真正細菌(別名:バクテリア)の一属で、
人間に感染すると肺炎を引き起こします。マイコプラズマ肺炎と言うらしいです。)

体には、細胞壁がなく、多形性の単細胞で直径0.1から1.0μmの球形や楕円形

のものが多いです。

この病気は、ほとんどがヨコバイからうつり、発病すると、茎葉が黄色、萎縮し、

細かく枝分かれするなど、ウイルス病の病徴によく似ています。

クワ萎縮病、エゾギク萎黄病、イネ黄萎病、ジャガイモ・サツマイモ・ミツバなどの

てんぐ巣病などがあります。
(てんぐ巣病とは、通常、一定の間隔で枝から若芽が出ますが、その法則が崩れ密集して出るようになります。
分かりやすいのは、樹木で言うと、高いところに鳥の巣のようなものが出来ているのがそうです)


・病気の防除

?予防?

作物の病気は気付かないうちに進行し、発病を確認したときには、

すでに病気がまわりの作物に伝染してしまっていることが大半です。

従って、病気の防除は発病する以前の予防に重点が置かれることになります。

病気の防除は以下の基本的な考え方にそって行うことになります。

1.作物自身の抵抗力を強める→抵抗性品種や台木の利用。栽培管理を適正に行う。

2.病原菌の活動を抑える→マルチング、袋かけ。温度や湿度の調節。土壌pH・水分の調整

3.病原菌の生息密度を下げる→種苗・床土の消毒。土壌・温室の消毒。
輪作、湛水(例えば、冬でも田んぼに水を張るようなこと)。圃場衛星。

?発症後?

駆除および蔓延の防止→薬剤散布


長くなりましたので、今回はここまで。

次回はこのウイルス病の予防を掘り下げた話からになります。

どうも標です。

約1ヶ月ぶりに農雑をしたためているわけなんですが、

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

私は2回も体調を崩しました。

ぶり返したとも言いますが(笑)

収穫の秋、食欲の秋と言いますんで、

どうかお体にはお気をつけて欲しいと思います。

さて、その6と進んできました「害虫と農薬」ですが、

一つ、ご拝見の皆さんに言っておかなければならないことを

忘れていました。

お気づきの方もいると思いますが、

この「害虫と農薬」は私の知識だけではなく、

書籍や学生時代のノートも使ってやらせてもらっています。

そうでなければ害虫の名称を細かく書けるわけがありません(笑)

それに、書籍に書いてある専門用語を読んでも

意味分からないので補足を付けたりしています。

書籍と農林時代のノートと私の知識の3つがかみ合わさったのが

今回の長編です。

言い方としては「完全版」とでも言うのでしょうかね?

まぁ、何にしてもどうかお付き合いいただきたいと思います。


今回は細菌による病気の話です。


・細菌の特徴

細菌はカビと異なり、1つ1つが独立した小さな単細胞の微生物です。

その形は桿(かん)、球、螺旋、糸状などいろいろなものがありますが、

作物に病気をおこす細菌は、ほとんどが桿状です。
(桿:竿のような形のことです)

桿状細菌の大きさは、1.2から3μm、幅0.3から1μmで、

多くは細長い糸状の鞭毛(べんもう)をもっていますが、

それがない種類もあります。
(鞭毛:泳ぐのに必要な糸状の尾ひれのようなもの。
分かりやすく言うと、雄の精子についている尻尾のようなアレも鞭毛です)

細菌は体が2つに分裂して増殖します。

増殖の早さは、極めて大きく、30から60分ごとに分裂しまくるので、

適当な温度条件の下では、爆発的に蔓延します。


・細菌病の種類

細菌病は、かかる場所によって、次の3つの型に分けることが出来ます。

柔組織病:細菌が作物の柔組織に侵入して、斑点・葉枯れ・軟腐(なんぷ)・潰瘍などを起こします。
(病名:イネ白葉枯れ病・ミカン潰瘍病、
野菜軟腐病(白菜によく見られる病気で、根元部分が茶色くドロドロした状態になる)・キュウリ斑点細菌病・モモせん孔性細菌病・キャベツ黒腐れ病など)

道管病:細菌が作物の道管内に侵入して増殖し、周囲の組織を破壊して道管を詰まらせ、水分の上昇をさまたげるので、そこから向こうがしおれることになります。
(道管:茎の中を通っている水分を送る管のこと。また、栄養を運ぶ師管と言うものがあり、これら2つを総称して維管束(いかんそく)と言う。
収穫したての健康なキュウリのヘタ部分を見ると、維管束から水が出てくるのが分かる。本体の茎部分も同じく。維管束自体も見えなくもありません。)
(病名:ナス・トマトの青枯れ病、ジャガイモ輪腐れ病・ユリ立ち枯れ病・タバコ立ち枯れ病など)

増生病:細菌が出すホルモンの作用で細胞が大きくなり、組織の一部が異常に肥大してごぶ状になります。決して、「大きくなった、ラッキー」ではありません。虫が潜り込んでいるような気持ち悪い形になります。
(病名:カキ・ナシ・クリ・ブドウ・リンゴなどやニンジン・ナガイモなどの根頭癌腫病(こんとうがんしゅびょう)など)


・細菌の伝染

細菌は、太陽光線や乾燥に弱く、多くは被害作物の組織内や土中など、

水分の多い場所で生活しています。

作物への伝染は、雨や川、灌漑水あるいは土中に混じって運ばれることが多く、

なかには種苗や昆虫によって伝染する場合もあります。
(長靴の底についた土を払わず、そのまま別の畑に行くと細菌やカビ、ウイルスを運んだことになります。同じ畑でも植えてある作物によってそれぞれ土壌環境は違うので、畑だけでなく作物ごとに長靴を使い分けたりすれば万全な対策と言えるでしょう。)

細菌は、カビのように作物の表皮をつき破って侵入する器官を持っていません。

つまり、作物体内への侵入は、作物の表面に出来る傷口や

水孔・皮目(ひもく)・蜜腺などの自然開口部や

保護層の発達していない根冠や根毛などから入ってくることになるわけです。
(水孔:気孔と同じように葉っぱについています。吸収しすぎた水(雨のとき)を吐き出す口です。泥水なんかを葉っぱに飛ばすとそこから侵入を許すことになります)
(皮目:木にある表皮の切れ目のこと)
(蜜腺:文字通り蜜を出すところです)

次回はウイルスの話です。

どうも標です。

今回は長くなりそうなので、

私のどうでもいい話はカットしてお送りします。
 

さて、前回、病気の原因は、カビ(糸状菌)、細菌、ウイルス

によるもの、とお話しました。

今回からそれぞれの菌や病気の特徴をお話しようと思います。


・カビ(糸状菌)の特徴

実は、作物の病気の中でもっとも多いのは、

このカビの菌によっておこる病気です。

このカビ(糸状菌)は分類学上は植物に属しますが、

一般的な緑色をした植物のように葉緑素
(植物は葉緑素によって光合成をしている。また、葉っぱが緑色に見えるのはこれによるもの)

をもっていないので、栄養を体外から取り入れた有機物に依存して

生きています。
(つまり、別の物体(有機物)が体外から取り入れた栄養を栄養としている、
と言うことです)

体は、太さ4から10マイクロメートル程度の細長く枝分かれした糸状。

また、その一部に胞子を作って繁殖します。

胞子には、受精によって有性的に出来る場合と

無性的に出来る場合とがあり、

有性繁殖は普通は1年に1回ですが、無性繁殖は環境が良ければ、

いくらでも胞子が作られます。

カビの菌の栄養の採り方は、腐生と寄生があります。

植物の遺体など死んだものから、栄養を取る場合を

「腐」ったもので「生」きていくと書いて、腐生と言います。

このような菌を腐生菌と言います。
(キノコは大体この仲間です)

腐生菌は生きている植物に被害を与えることはないので、

作物を病気にする恐れはありません。

もう一つの寄生は、生きている作物に侵入して栄養を取ります。

このような菌を寄生菌と言います。

そして下のように分けることが出来ます。

1.生きた植物でしか栄養を取ることができないもの
  (絶対的寄生)
  該当する菌:うどんこ病菌、べと病菌、さび病菌、根こぶ病菌など

2.いつもは寄生していますが、条件によっては腐生的な生活ができるもの
  (条件的腐生菌)
  該当する菌:いもち病菌、疫病菌、ごま葉枯れ病菌など
  大多数の病原菌がこの中に属します。

3.いつもは腐生していますが、作物の生育が弱まったときなどに寄生するもの
  (条件的寄生菌)
  立枯れ病菌、灰色カビ病菌、紋枯れ病菌など


・カビ(糸状菌)病の種類

カビの菌による病気は、その伝染の経路によって、

空気伝染性病害と土壌伝染性病害の2つに分けることが出来ます。

空気伝染性病害は、病害菌が風・水・虫・種などで運ばれる病気で、

土壌伝染性病害は、病原菌が地中にいて、

作物の根や地際から侵入して起こる病気を言います。

また、連作障害の主原因にもなっています。
(連作障害とは、同じ畑に同じ作物を連続して作ることによって起こる障害のことです。前に言ったかもしれませんが、同じ作物を作り続けると、地中にはその作物に害を与える病害虫だらけになり、自体がダメになってしまいます。そこで輪作と言う方法を取り、連作障害を回避します。)


・カビ(糸状菌)病の伝染

病原菌が伝染原から周りの作物に広がることを分散(または伝播)と言い、

分散した病原菌が作物の体に付着して、

気孔などから組織内に入ることを「侵入」と言います。
(気孔とは、植物が呼吸をする口のこと。
葉っぱの裏についています。)

侵入した病原菌はそこから栄養を取り、組織内に定着して

感染が完了となります。

そして、感染までの過程が伝染です。

カビの菌の伝染方法には次のようなものがあります。

1.種子伝染

 カビの菌が種に混入したり、種の外部に付着したり、

 あるいは種の内部組織に既にいて伝染する場合を言います。

 イネいもち病、サツマイモ黒斑病、ムギ類はだか黒穂病など

2.風媒伝染(空気伝染)

 胞子が風によって運ばれる場合で、

 地上で発病する病気の多くはこの方法で伝染します。

 イネいもち病、ムビさび病、ナシ赤星病など

3.水媒伝染

 雨や水やり(川などから水を引っ張ってくる場合も含む)

 などで伝染する場合を言います。

 イネ黄化い縮病、ジャガイモ疫病、キュウリべと病など

4.虫媒伝染

 虫が病原菌の胞子を運んで発病させる場合を言います。

 ウリ類炭そ病(ウリハムシ)、ナシ赤星病(ハチ・アリ)など

5.土壌伝染

 地中に生存する病原菌が、根や根毛や地際部などから侵入して

 病気を起こす場合を言います。

 立枯れ病、果樹の紫紋羽病、トマト・ナスのいちょう病、ハクサイ根こぶ病など

また、カビの菌の作物組織への侵入方法には、

表皮侵入、気孔侵入、花器侵入、皮目侵入、傷口侵入などがあります。


・発病

作物の組織内に侵入したカビの菌は、栄養を吸収しながら発育・蔓延します。

そのために作物はさまざまな症状を表しますが、これを発病と言います。

そのとき作物に現れる病的変化(色が変わったりとか)を病徴と言います。

また、発病の中期になると、菌糸や胞子などが作物の表面に表れてきますが、
(表面からカビが生えてきてるとか)

それを標兆と言います。

病徴や標兆はその病気の特徴をよく示すので、病名を判断するときに

重要な手がかりとなります。

病名さえ分かれば、手の打ちようがあると言うものです。


次回は細菌の話です。

まったく、最近の細菌ときたら・・・


・・・・
 

残暑見舞い申し上げます。

どうも標です。

SmileVol.19はお手元に届きましたでしょうか。

今回は我が社から誕生した?「たとみ農園」の特集です。

農業の雑学も知識やノウハウ面で貢献して行きたいものです。

それでは前回の続き、今回は病気のお話です。


2.病気と防除

健康な作物は、常に活発に物質代謝が行われています。

物質代謝とは、根は水分と養分を吸収し、葉は太陽の光を受けて光合成をし、

葉を茂らせ、花を咲かせ、実らせることを言います。

こうした正常な代謝が何らかの原因で崩されると作物は本来の機能を

行えなくなり、しおれたり、枯れたりとさまざまな異常を示すようになります。

これが作物で言う病気です。

しかし、作物も生物なので、ある程度は病気に抵抗出来るエネルギー

があります。

一見健康そうに見えても、実は健康でいるのがいっぱいいっぱいで、

実らせるなんてとてもとても・・・、と言う状態だったら、

いいものなんて獲れませんよね。

症状が表に出ていなくても常にいい環境を保つことが大事です。

 

・病気の種類

作物の病気には、まず伝染するものとしないものに分けることが出来ます。

伝染病は、その病原がカビ(糸状菌)、細菌、ウイルスなどによるもので、

病気は伝染して周囲に広がっていく性質があります。
(伝染病の作物は焼却し伝染しないようにする)

非伝染病は、作物に合わない土壌条件や気象条件、環境汚染物質・薬害などが

原因なので、伝染病のように広がっていくことはありません。

しかし、非伝染病あるいは作物に合わない環境は、

病気に対する抵抗力を低下させ伝染病を誘発するので、

注意が必要です。


・発病の条件

作物の病気はただ一つの原因だけで発病するのはあまりないことで、

普通は二つ、あるいは三つ以上の原因が重なっています。

人間で例えるならば「体力の低下」と「体が冷える」と言う条件があったとします。

これらが別々ならば、なかなか風邪等は引かないと思いますが、

二つが合わさると、風邪を引く確率が極めて高くなると思われます。

考え方はこれと一緒です。

作物の例を取ってみると、

イネいもち病と言う病気(斑点状等に枯れる病気)は、

いもち病菌と言う一種の糸状菌が、

イネに寄生するために起こりますが、この病原菌の存在だけで

発病することはありません。

日照不足や低温・長雨、窒素質肥料のやりすぎなど、発病するには

発病しそうな環境条件が必要となります。

そして、イネ自身がいもち病にかかりやすい性質を持っている場合、

より一層激しく発病します。

このように、作物の病気は病気を起こす病原体(主因と言う)の他に、

発病を誘発する環境(誘因と言う)、病気にかかりやすい性質(素因と言う)、

と言う、三つの条件が揃ったときに発病すると考えられています。


次回に続く。

どうも標です。

皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

只今、SmileVol.19鋭意作製中です。

お盆前にお手元に届くかと思われます。

それでは前回の続きです。


1.作物をとりまく生物(続き)

有害な生物の話です。

作物の生育を害する生物を有害生物と言います。

この有害生物には、作物に病気を起こす病原微生物やウイルス、

作物を加害する害虫や鳥 、獣、あるいは雑草など、

さまざまなものがいます。

耕地では、しばしばこうした有害生物が異常に繁殖して、

作物に大きな被害を及ぼしますが、このような害を防ぐには、

直接的な駆除のほかに輪作(毎年同じ場所に同じものを作らず、

別の作物を作ること)を行ったり、栽培方法を工夫したり、

作付ける作物の種類や品種をふやしたりして、

特定の有害生物が増えないようにすることや

天敵になる生物が生息できる環境を整えてやることが必要です。


次に、田んぼの主な害虫と

ぜひ田んぼに来ていただきたい天敵たちの紹介です。

(それぞれの姿に興味がある方はネットで画像検索して
いただきますと、いい写真がたくさん出てきます。
特に害虫は、イネにたかっている写真がほとんどです。)


・害虫

ツマグロヨコバイ・イナズマヨコバイ・セジロウンカ・
ヒメトビウンカ・トビイロウンカ・イネドロオイムシ・
イネツトムシ(イチモンジセセリ(茶色い小さな蝶)の幼虫)・
イネノズイムシ(ニカメイガの幼虫)・フタオジコヤガ・
イネカメムシ・ハネナガイナゴ

ヨコバイ種は萎縮病、ウンカ種はしま葉枯病・黒すじ萎縮病を
伝染させます。それぞれ体長5mm程度の小さな虫です。


・田んぼに住む天敵

捕食:

ツバメ・カエル・トンボ・クモ・カマキリ・アシナガバチ・
アメンボ・ハネカクシ・メクラガメ・サシガメなど。

害虫に寄生:

サナギ寄生バチ・卵寄生バチ・タカラダニ・ネジレバネ・
ウンカシヘンチュウ・カマバチなど

クモ:

コモリグモ・アカムネグモ・ヒメグモ・アシナガグモなど


次回から病気の話になります。

山梨は今日も暑いです。

どうも標です。

多分7月下旬がピークです。

・・・と思いたいです。

いろんな意味で頑張りましょう。

それでは前回の続きです。


1.作物をとりまく生物(続き)

畑には害虫ほど種類はいませんが、

作物にとって非常に大切な役割をしている生物がいます。

大きく分けて4つに分けることが出来ます。


・鳥類
畑ではときどき、ツグミやヒヨドリ、シジュウカラなどといった

野生の小鳥を見ることがあります。

これらの鳥は本来、山林や草原などの自然の中で生活していますが、

餌を求めて畑にやってきます。

鳥は穀物や果実を食べますが、作物の害虫なども食べてくれるので、

害虫の天敵としての役割も大きいです。

まだ実っていない時期には小鳥さんに来ていただいて、

成熟しだしたらお帰り願う。
(人間って勝手だなと思いつつも)


・天敵
害虫を食べたり、その体に寄生する生物を天敵と言います。

畑には鳥類の他に、カエルやトカゲ、クモ、テントウムシ、ハチなどの

肉食性の小動物が生息し、害虫の異常な繁殖を防いでくれています。

この中で、「ハチ?」と思われた方がいると思います。

ハチの中にはチョウやガの幼虫を捕まえてきて、

自分の幼虫の餌にする種類がいます。

代表的なのはとっくりバチです。

泥で作られたとっくりの形をした巣に卵を産みます。

そして、毒針で麻痺させたチョウやガの幼虫を連れてきて、

孵化した幼虫の餌にしています。

余談ですが、

孵化したあと幼虫は、親が用意した餌を食べ、

成虫のハチとなって巣から飛び立ちます。

つまり、とっくりバチは子育てをしません。

そして子供は親の顔を知らずに育ち、一生を終えます。

また親も成長した我が子を見ることはありません。

もちろん、誰に教わったわけでもないのに、子供は、

またとっくりの巣を作って幼虫を捕まえてきます。

自然界の不思議を感じさせつつも、なんだか切ないですよね・・・。

(ちなみに、ほとんどの虫は子育てをしません)


・花粉媒介昆虫
チョウやハチ、アブなど、花に集まって作物の受粉を助けてくれる昆虫を

花粉媒介昆虫と言います。

これらの中で有名なのがミツバチの仲間のマルハナバチです。

マルハナバチは他のハチに比べて毛に覆われており、

体に非常に花粉が良く付きます。

主に、受粉のためにハウス内に放たれています。

危害(捕まえるとか)を加えない限り刺しませんし、

近くにいても向かってくることはありません。

このハチは非常に優秀ですので、

商品として売っていますし、飼っている農家もいます。


・土壌微生物
土の中には、多種多様な微生物が複雑に入り込んでいます。

その多くは、最終的には土の中の有機物を分解して、

作物の栄養を供給していますが、中には病原微生物に攻撃して、

その繁殖を抑えるものもいます。

ミミズやダンゴムシ等とははたらきが似ていますが、

彼らには病原微生物を攻撃するはたらきはありませんからちょっと違います。

微生物でもありませんし。

(続く)